医療図書館 株式会社メディカル情報サービス MEDPORT
MEDPORT
  
mapDirectory
会員登録
その他のサービス
文献複写
◆ 世界の時刻
◆ 天気予報

トップ >> Today's Topics 30

Today's Topics 30
Today's Topics 30

2010/09/06 40歳以下の若者で直腸がんが増加(米国)
Increasing incidence of rectal cancer in patients aged younger than 40 years..
New York- Presbyterian Hospital/Weill Cornell Medical CenterのMeyer博士らは、Surveillance, Epidemiology, and End Results (SEER)のがん登録データを用いて、レトロスペクトルなコホート研究を実施し、米国の40歳以下の患者で直腸がんが増加していることを見出した。博士らは、1973年と2005年の間に結腸がん、直腸がん、及び直腸S状部がんと診断された40歳以下の患者7,661例について結腸がんと直腸/直腸S状部がんの時間経過における発生率の変化を調べた。結腸がんの年間変化率は-0.2%であったが、直腸がんは2.6%と増加(p<0.0001)であった。また、直腸S状部がんは2.2%とこれも増加(p<0.0001)を示したが、S状結腸がんは0.4%、下行結腸がんは-2.8%であった。直腸がんと直腸S状部がんの発生率の曲線の傾きの時系列解析から増加の開始が1984年であることも分かった。博士らは、40歳以下の患者で、直腸出血又は他の注意すべき兆候や症状を示している患者は、今回の知見を念頭において診断するべきであると結んでいる。
[Cancer, published online August 23, 2010]
2010/08/23 がん早期発見のための新技術
Detection of lung, breast, colorectal, and prostate cancers from exhaled breath using a single array of nanosensors.
Israel Institute of TechnologyのPeng博士らは、ピンポイントの化学的変動に対するセンサーを用いて、呼気で健康な人と悪性腫瘍の人とを識別できるのみならず、4つの異なったがんも同定することができると報告した。博士らは呼気の測定に有機的に官能化された金のナノ粒子及びGC-MSを基にした交差反応性ナノセンサーのテーラーメイドアレイを用い、年齢が20~75歳の肺がん、乳がん、結腸直腸がん、及び前立腺がん患者及び健康な対照者のボランティア177例から集めた肺胞呼気を測定した。その結果、ナノセンサー・アレイは、"健康"な呼気と"がん"の呼気を識別することができ、更に、4種類の異なったがん患者の呼気も識別し、それぞれのがんを同定することができた。試験に使用した装置はまだ実用段階にはないが、この新技術は非侵襲性であり、安価で使いやすく携帯可能なものにすることができれば、がんの早期発見に役立つと博士らは結論している。
[British Journal of Cancer 103(4): 542-551, 2010]
2010/08/16 治療抵抗性双極性うつ病にN-メチル-D-アスパルテート拮抗薬
A randomized add-on trial of an N-methyl-D-aspartate antagonist in treatment-resistant bipolar depression.
双極性うつ病の既存の療法は、作用の発現にかなりのラグがある。迅速に、例えば数時間又は数日以内に、抗うつ効果を発揮させる薬理学的な戦略は、患者のケアと公衆衛生上計り知れない影響を持つ。National Institute of Mental HealthのZarate Jr.博士らは、N-メチル-D-アスパルテート拮抗薬、塩酸ケタミンの単回静脈内投与は、治療抵抗性双極性うつ病患者に40分以内で強い抗うつ効果を生み出す、との比較研究結果を公表した。博士らは、リチウム又はバルプロ酸で治療レベルを維持されているDSM IVの治療抵抗性双極性うつ病患者18例で、無作為、プラセボ対照、二重盲検、クロスオーバー、追加試験を実施し、その効果をMontgomery-Asberg Depression Rating Scaleスコアの変化で判定した。その結果、プラセボ患者と比べ、塩酸ケタミン投与患者では、40分以内に抑うつ症状が有意に改善され、この改善は平均して6.8日間続いた。研究者たちは、"治療抵抗性双極性うつ病では普通数週間を要する抗うつ効果の発現が、リチウム又はバルプロ酸で維持されている治療抵抗性双極性うつ病患者に、ケタミンの単回投与が1時間以内という迅速な抗うつ効果を示したことは注目すべきである"と述べた。
[Arch Gen Psychiatry 67(8): 793-802, 2010]
2010/08/09 すい臓がん細胞は果糖を増殖のために利用する
Fructose induces transketolase flux to promote pancreatic cancer growth.
従来、がん細胞は、増殖のために糖であればどの糖でも同じように代謝して利用すると考えられていたが、University of California, Los AngelesのHeaney博士らは、膵臓がん細胞では、ブドウ糖と果糖ではまったく違う輸送経路で細胞内に取り込まれ、代謝もまったく異なっていると報告した。博士らは、ブドウ糖との比較において、果糖はチアミン依存性のトランスケトラーゼフラックスを誘導し、非酸化的ペントース経路を通って優先的に代謝されることを示し、がん細胞が増殖を高めるために果糖を速やかに代謝・利用していることを示した。近年、果糖の食品への利用は高まっており、食事に含まれる果糖を減らすことはがん患者にとって重要なことであり、その努力が求められるであろう。
[Cancer Research 70(15): 6368-6376, 2010]
2010/08/02 果糖の摂り過ぎは血圧を上げる
Increased fructose associates with elevated blood pressure.
工業国における果糖消費量の最近の増加は、高血圧の発生率の上昇を映し出している。 University of Colorado Denver Health Sciences CenterのJalal博士らは、添加物である砂糖からの果糖摂取量と血圧を上げるリスクとの関係を調査した。National Health and Nutrition Examination Surveyから高血圧の病歴のない米国成人4,528例のデータを用いてクロスセクショナル解析を実施し、果糖摂取量の中央値は74g/日であり、これは毎日2.5本の砂糖入りソフトドリンクを飲むのに相当する量であることを確認した。様々な要因を補正した後、74g/日以上の果糖摂取量の増加は血圧レベルの上昇の高い確率と独立して有意に関連した。血圧のカットオフ値を135/85mmHg以上、140/90mmHg以上、160/100mmHg以上としたときのリスクはそれぞれ26%、30%、77%増加した。
[J Am Soc Nephrol, published ahead of print July 1, 2010]
2010/07/27 感染を検出し治す包帯
A thin film detection/response system for pathogenic bacteria.
やけどが原因で死亡するヒトの半分は感染が直接の原因となっている。病原性のStaphylococcus aureusやPeudomonas aeruginosaは、感染した傷の周辺の組織でトキシンやリパーゼといった毒性因子を分泌し、細胞膜を積極的に損傷するすることで治癒を妨げる。Univesity of BathのJenkins博士らの国際チームは、抗菌物質をカプセルに充填し、付属の小胞から放出することで感染を抑える不織布の開発を検討している。博士らは、抗菌物質にアジ化ナトリウムを充填したカプセルを不織布に付け、病原性のS. aureus MSSA476とP. aeruginosa PAO1及び非病原性のE. coli DH5aに不織布を暴露させた。予期したように毒性を持つ細菌2種に対しては、暴露されたときカプセルは溶解し抗菌物質を放出した結果、細菌の量は急速に減少した。非病原性のE.coli DH5aではカプセルが溶解されず従って抗菌物質も放出されなかった。博士らはカプセルの溶解と共に蛍光物質が溶出する工夫をして、感染部位も確認できるようにしている。この研究の最終的な目的は、感染した創傷でのみ抗菌物質を放出し、感染部位を知らせる応答包帯を作り出すことにあり、この報告はその予備的アプローチである。
[J Am Chem Soc 132(18): 6566-6570, 2010]
2010/07/19 腹部大動脈瘤のマーカー、D-ダイマー
Evaluation of the diagnostic and prognostic value of plasma D-dimer for abdominal aortic aneurysm
血漿中のD-ダイマー濃度上昇は、腹部大動脈瘤の存在と拡大と関連するとJames Cook UniversityのGolledge博士が報告した。Golledge博士らは、集団検診グループの1,260例(337例が腹部大動脈瘤)と紹介外来グループの132例(41例が腹部大動脈瘤)で、腹部大動脈瘤のための臨床マーカー、血液マーカーに加えて、D-ダイマーの潜在的な診断価値と予後診断価値を評価した。その結果、血漿中のD-ダイマー濃度は、多重ロジスティック回帰モデルにおいて最も強力な独立リスクファクターであることが分かり、濃度が90ng/mLの場合と比べて、腹部大動脈瘤のリスクは400ng/mL以上で12.1倍となり、900ng/mL以上のでは24.7倍になる。中央値で5.5年間、超音波による腹部大動脈瘤の経緯を観察したデータ(男性299例)によれば、血漿中D-ダイマー濃度は1年間の腹部大動脈瘤の平均拡大と最初の腹部大動脈瘤の直径と有意な正の相関を示した。低リスク集団と腹部大動脈瘤芽確定された患者集団での比較など更なる試験の結果を待たなければならないが、血漿中のD-ダイマーが腹部大動脈瘤の診断と予後診断において役割を果たすことができると研究者たちは考えている。
[Eur Heart J, Epub ahead of print on June 8, 2010]
2010/07/12 円形脱毛症と自己免疫機序
Genome-wide association study in alopecia areata implicates both innate and adaptive immunity.
円形脱毛症はヒトの自己免疫疾患であり、毛包の免疫特権の崩壊とそれに続く自己免疫発作のため外観を損なう脱毛を引き起こすが、円形脱毛症の遺伝的基盤はほとんど知られていない。Columbia UniversityのChristiano博士らは、1,054症例と3,278対照例の試料における全ゲノム関連研究を実施し、円形脱毛症と有意に関連している139の単一ヌクレオチド多型(SNPs)を同定した。これらのSNPsの大部分は、認識された免疫機能により1つ又は2つの遺伝子を含む8つの領域に集まっており、6つの領域の遺伝子座には、それぞれ、CTLA4、IL-2/IL-21、HLA領域、ULBP遺伝子、IL-2RA(CD25)、及びIK2F4とERBB3が含まれていた。残る2つの領域のうち、1つの遺伝子座はSTX17内に、又、1つはPRDX5の近くに位置していた。関連の強い領域は、以前には自己免疫疾患に関わっていないとされていたナチュラルキラー細胞受容体NKG2Dのリガンドの活性化をコードしている染色体上の6q25.1のULBP遺伝子クラスター内に存在していることも分かった。この研究により円形脱毛症の病因における先天性免疫と獲得免疫の両方の証拠が示され、プロセス開始の一部として、NKG2Dの危険信号を発現する組織間で共有機構がある様に思われる
[Nature 466(7302): 113-117, 2010]
2010/07/05 腰痛に関与する新たな免疫系
Proinflammatory cytokine expression profile in degenerated and herniated human intervertebral disc tissures.
病的な椎間板組織における炎症性サイトカインの発現によるマクロファージとリンパ球の浸潤が報告されている。Duke University Medical CenterのRichardson博士らは、Th17リンパ球系の椎間板疾患への関与を調査し、インターロイキン-17(IL-17)がヘルニア状態及び変性した椎間板と関係する腰痛の発症に寄与しているかもしれないことを見いだした。博士らは、手術を受けた変性椎間板疾患患者(25例)又は椎間板ヘルニア疾患患者(12例)から椎間板の疾患組織を、又対照として健康な組織(8例)を採取し、炎症過程を開始する免疫物質を分析した。健康な椎間板組織ではIL-17を産生するTh17リンパ球はほとんど存在しないが、椎間板の疾患組織の70%以上でTh17リンパ球が存在することを確認した。博士らは、大きなIFNγ陽性、マクロファージの存在などのほかの知見と合わせて、椎間板の疾患組織における顕著なIL-17発現と健康な組織におけるIL-17低発現は、椎間板変性の病理的機序におけるTh17リンパ球の関与を示唆する、と結論した。
[Arthritis & Rheumatism 62(7): 1974-1982, 2010]
2010/06/28 ω-3サプリメントは抑うつ症状を軽減
The efficacy of omega-3 supplementation for major depression: A randomized controlled trial
エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸などのω-3サプリメントは抑うつ症状を軽減するとCentre Hospitalier de I'Universite de MontrealのLesperance博士らが報告した。博士らは、カナダの8施設での大うつ病の外来患者にエイコサペンタエン酸(EPA)1,050mg/日とドコサヘキサエン酸(DHA)150mg/日の群とそれにマッチした2%の魚油を含んだヒマワリ油のプラセボの群に分け8週間投与した。評価は自己報告のInventory of Depressive Symptomatology(IDS-SR30)と医師が評価したMontgomery-?sberg Depression Rating Scale(MADRS)で行った。治療群とプラセボ群の間の補正した平均差は、IDS-SR30で1.32点(95%CI -0.20-2.84;。p=0.088)、MADRSで0.97点(95%CI -0.012-1.95; p=0.053)であり、不安障害を合併していない患者(204例)でのサブグループ分析ではIDS-SR30で3.17点(95%CI 0.89-5.45; p=0.007)、MADRSで1.93点(95%CI 0.05-3.36; p=0.008)でプラセボよりも有意に優れていた。ω-3サプリメントは抑うつ症状を軽減する効果を持ち、特に不安障害を合併していない大うつ病では有意に抑うつ症状を軽減する。
[J Clin Psychiatry published online June 15, 2010]
2010/06/21 がん幹細胞の治療抵抗性にスルフォラファンの併用
Synergistic activity of sorafenib and sulforaphane abolishes pancreatic cancer stem cell characteristics.
膵がんなどの固形がんは、転移と治療抵抗性に関わる自己再生能力のある発がん性細胞(膵がん幹細胞)の一部を含むことが、最近の研究で示唆された。ソラフェニブは、進行性の腎がんと肝がん治療のための有望な新規マルチキナーゼ阻害剤である。University of Heidelberg and German Cancer Research CenterのHerr教授らは、膵がん幹細胞に及ぼすソラフェニブの効果をがん細胞とマウスで検討し、ソラフェニブが膵臓腫瘍由来のがん幹細胞の典型的な特性を阻害し、腫瘍の増殖を大いに低下させることを見いだした。しかし、その効果は短く、4週間後にはもはやソラフェニブによる更なる治療には反応しなくなるがん幹細胞の新たなコロニーが形成された。この抵抗性は、ある種の代謝経路、ソラフェニブにより活性化されるNF-κB経路と恐らく関係しているのであろうと教授らは考えた。 ブロッコリなどに含まれる抗がん物質スルフォラファンは、有害な副作用を誘発することなく、NF-κB活性をダウンレギュレーションするといわれており、教授らはソラフェニブとスルフォラファンの併用効果を試験し、細胞培養試験において、がん細胞の侵襲性は阻まれ、転移は完全にブロックされること、in vivoで相乗的に腫瘍サイズを小さくすることを見いだした。がん幹細胞を含むがんの治療抵抗性を破るには、スルフォラファンの利用が期待される。
[Cancer Research Published online June 6, 2010]
2010/06/14 脳が血中コレステロールを調節する
Melanocortin signaling in the CNS directly regulates circulating cholesterol.
コレステロールは、トリグリセライドとその他の脂質と関連して血中を循環している。、血中の低密度リポタンパク(LDL)コレステロールの上昇は、メタボリック症候群と心臓血管系疾患のリスクをもたらす一方で、血中の高密度リポタンパク(HDL)コレステロールは、有益であると思われている。University of Cincinnati College of MedicineのTschop教授らは、脳のメラノコルチンシステムを薬理学的、遺伝子的または内分泌的メカニズムにより阻害すると、食物摂取や体重とは無関係に、肝臓によるメラノコルチンの摂取を減らすことによりHDLコレステロールの循環が増えることを見いだした。この知見から、Tschop教授らは、脳の神経回路が肝臓によるコレステロール代謝の調節に直接関わっていることを示唆するものであると結論した。
[Nature Neuroscience online ahead of print June 6, 2010]
2010/06/07 COPD急性増悪には早期に抗生物質投与を
Antibiotic therapy and treatment failure in patients hospitalized for acute exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease.
ガイドラインはCOPDの急性増悪に抗生物質療法を推奨しているが、入院患者でのデータは少ない。Center for Quality of Care Research, Baystate Medical CenterのRothberg博士らは、全米の413救急施設でCOPDの急性増悪のために2006年1月1日から2007年12月31日までに入院した40歳以上の患者のレトロスペクトルなコホートを対象に、入院後2日間に抗生物質で治療された患者の転帰を、抗生物質治療の遅れた患者又は全く抗生物質治療をしなかった患者の転帰と比較した。84,621例の患者のうち79%が少なくとも2日間連続して抗生物質治療を受けた。治療を受けた患者は、治療を受けなかった患者よりも入院2日目以降に人工呼吸器をつける可能性は少なく(1.07%対1.80%)、入院患者死亡率も低く(1.04%対1.59%)、COPDの急性増悪で再入院する割合も低かった(7.91%対8.79%)。しかし、良いことばかりではなく、抗生物質で治療を受けた患者は、治療を受けなかった患者(よりもClostridium difficileの下痢のため再入院する割合は高かった(0.19%対0.09%)。抗生物質治療傾向を含めた多変量補正後、治療の失敗のリスクは抗生物質治療患者で低くなった(オッズ比、0.87)。早期の抗生物質投与は、治療の失敗とはかかわりなく、COPDの急性増悪のため入院した患者の転帰改善と関連した。
[JAMA 303(20): 2035-2042, 2010]
2010/05/31 肺高血圧治療薬イロプロストが肺がんを防ぐ
Oral iloprost for the chemoprevention of lung cancer..
American Thoracic Society 2010 International Conferenceで報告された無作為第Ⅲ相試験の結果によれば、プロスタサイクリンの類似体、イロプロストは、気管支内異形成を改善することにより元喫煙者の肺がんの予防に有望であるとDenver Veterans Affairs Medical Center及びUniversity of ColoradoのKeith博士が、American Thoracic Society 2010 International Conferenceで報告した。試験開始時の治療グループ(イロプロスト60例、プラセボ65例)間の組織学的測定には統計学的有意差はなかったが、6か月間のイロプロスト(漸増用量で;1日2回50?→150?、経口)又はプラセボ投与後、追跡調査で気管支鏡検査をした結果、イロプロストを投与された被験者は、3つの別々の測定法による気管支内組織学的判定で有意な改善を示した。イロプロストの肺がん予防効果についての臨床試験をする価値は十分あると博士らは結論した。
[American Thoracic Society 2010 International Conference, Scientific Symposium, [C91] Late Breaking Clinical Trials, Abstract 9997; Am J Respir Crit Care Med 181: A6834, 2010]
2010/05/25 菌を持って菌を制す
Staphylocpccus epidermidis Esp inhibits Staphylococcus aureus biofilm formation and nasal colonization.
共生細菌は、病原菌のコロニー形成を抑制することが知られている。東京慈恵会医科大学のIwaseらは、鼻腔内の無害な共生細菌である一部のStaphylococcus epidermidisが分泌するセリンプロテアーゼであるEspが、MRSAを含むヒトの病原菌であるStaphylococcus aureusによるバイオフィルム形成と鼻腔でのコロニー形成を抑制することを示した。純化したEspは、バイオフィルム形成を阻害するだけでなく、既に存在するS. aureusバイオフィルムをも破壊する。また、バイオフィルム内のS. aureusの免疫システム成分に対する感受性も高める。これらの知見は、Espが細菌の干渉の新たなメカニズムを通してin vivoでのS. aureusのコロニー形成を妨害し、S. aureusのコロニー形成と感染を阻止する新たな療法の開発に導きうると考えられ、病院の医療スタッフにとっては朗報となろう。 しかし、Esp単独投与では鼻腔内でその活性は長続きしないので、S. epidermidisそのものを鼻腔内に投与すれば、S. epidermidisが鼻腔内で増殖することにより永続的にS. aureusを一掃することができる。
[Nature 465(7296): 346-349, 201]
2010/05/17 認知症薬研究の手掛かり
Altered histone acetylation is associated with age-dependent memory impairment in mice
European Neuroscience InstituteのFischer博士らは、高齢マウスの研究を通じて、ヒストンH4K12アセチル化と呼ばれる過程において、高齢マウスの脳の中の遺伝子を制御するタンパク質の発現に変化があること、また、この発現の変化が記憶と学習の傷害を招き、H4K12アセチル化の特異的脱制御を見いだした。このようなマウスでは記憶の固定に関連した海馬の遺伝子発現が低下する。脱制御したH4K12アセチル化は、高齢マウスの脳における遺伝子-環境相互作用の早期バイオマーカーであることが示唆された。この脱制御したH4K12アセチル化の復旧は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤として知られている薬剤により遺伝子の発現を元に戻し、認知能力を回復させることができる。
[Science 328(5979): 753-756, 2010]
2010/05/10 子癇前症は乳がんのリスクを下げる
Soluble endoglin inhibits breast cancer cell proliferation.
最近の研究が、子癇前症が乳がんの発生率を下げることと関連するかもしれないことを示唆しているが、そのメカニズムは分かっていない。 子癇前症は、発達中の赤ん坊の胎盤に血液の供給が制限されるときに起こる妊娠中の母親における高血圧症候群である。血液に乏しい胎盤は、母親の血圧を上昇させる因子を遊離する。その因子の一つが、可溶性エンドグリンである。University of Minnesota Medical SchoolのGingery博士らは、乳がん細胞、MCF-7とLCC9細胞に対する可溶性エンドグリンの効果をin vitroで試験し、20ng/mLの可溶性エンドグリンが、24時間でMCF-7の増殖を65.6%、LCC9の増殖を68.2%減少させることを示した。また、可溶性エンドグリンは、TGF-βのコレセプターであり、TGF-β経路は細胞増殖をコントロールする。Gingery博士は、可溶性エンドグリンがこのMAPKとPI3K/Akt経路を通して乳がん細胞の増殖を阻害すると考えた。リン酸Akt又はリン酸Erk1/2を活性化して可溶性エンドグリン処理すると、MCF-7細胞の増殖は、リン酸Aktの場合は5分後%、10分後57%、30分後76%、リン酸Erk1/2の場合は、それぞれ28%、44%、57%減少した。この結果を元に博士らは、可溶性エンドグリンはTGFβシグナリングを弱めることにより作用し、その結果、AktとErkシグナリング経路を通してMCF-7乳がん細胞の増殖を阻害する、と結論した。
[FASEB Journal vol.24, Experimental Biology Meeting Abstract 816.4, April, 2010]
2010/05/06 PPARγを標的とするクローン病治療
Peroxisome proliferator-activated receptor gamma activation is required for maintenance of innate antimicrobial immunity in the colon.
Institut National de la Sant? et de la Recherch M?dicaleのPeyrin-Biroulet博士らは、腸の中の免疫防御を制御するタンパク質、核受容体ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)が、マウスのmDefB10とヒトのDEFB1を含む結腸のβdefensinのサブセットの本質的な上皮発現を維持することにより抗微生物因子として機能することを示した。DEFB1の発現を必要とする機能的プロモーター遺伝子変異体は、クローン病の結腸炎と回結腸炎に対して強力な防御を与える(オッズ比0.559;p=0.018)。クローン病における結腸障害は、炎症と無関係にDEFB1の発現減少と明確に結び付けられる。クローン病における微生物免疫を復元することによる結腸炎症を予防するためのPPARγを標的とする治療法と栄養的アプローチは、将来クローン病治療への有効な手段となるだろう。
[Proc Natl Acad Sci USA, published online April 26th, 2010]
2010/04/26 慢性腎疾患と高血圧
Prevalence of chronic kidney disease in persons with undiagnosed or prehypertension in the United States.
高血圧は慢性腎疾患の原因と結果の両方である。Johns Hopkins UniversityのCrews博士らは、1999~2006年の間にNational Health and Nutrition Examination Surveyにより調査された17,794例の成人における血圧カテゴリー内の慢性腎疾患の有病率を測定した。その結果、高血圧前症(収縮期血圧が120 mmHg以上140 mmHg未満又は拡張期血圧が80 mmHg以上90 mmHg未満)と未診断高血圧(収縮期血圧が?140 mmHg又は拡張期血圧が?90 mmHg)の人々の中の慢性腎疾患の有病率は、年齢、性、及び人種で補正後の多変量ロジスティック回帰で、正常血圧の13.4%と比べて、医師により高血圧と診断された人々の27.5%と比べると低い数字であるが、それぞれ17.3%と22.0%と高いことが判明した。また、マクロアルブミン尿症(尿中アルブミン:クレアチニン比300 mg/g以上)も、血圧の上昇と深く関連した(オッズ比2.37)。慢性腎疾患は、未診断高血圧及び高血圧前症の早期識別と治療が、慢性腎疾患の罹患と死亡を防止しあるいは遅らせることができる、と著者らは考えている。
[Hypertension 55(5): 1102-1109, 2010]
2010/04/19 人工膵臓の実用化に一歩近づく
A bihormonal closed-loop artificial pancreas for type 1 diabetes.
Department of Biomedical Engineering, Boston UniversityのCrews博士らが、コンピュータのアルゴリズムによる指示通りに即効性のインスリンアナログlisproとグルカゴンの両方を皮下投与すると共に血糖値の頻回測定をする閉回路制御システムを開発した。このような血糖値を自動制御する装置は、1型糖尿病治療念願の目標であり、その目標に一歩近づいたことになる。 最初の試験では、1型糖尿病で内因性インスリン分泌のない患者11例について27時間観察され、患者は、3種の炭水化物リッチ食を与えられた。その結果、6例の患者は、治療が必要な低血糖症例もなく、Americn Diabetes Associationが推奨する154 mg/dL以下の平均血糖値目標より低い140 mg/dLの平均血糖値を達成した。しかし、残る5例の患者は治療が必要な低血糖値を示した。その原因を確認したところ、この5例は低血糖にならなかった6例の患者よりもlisproの吸収動態が低いことが分かった。そこでアルゴリズムの薬物動態パラメーターを少し調節し、追加の試験を行ったところ、平均血糖値はAmericn Diabetes Associationが推奨する目標値より少し高いが164 mg/dLを達成でき、低血糖症例は出なくなった。博士らは、この2ホルモン閉回路システムは実現可能であると考えている。
[Science Translat ional Medicine 2(27): 27ra27, 2010]
2010/04/12 がんと戦う新たな戦略
Chemoprevention of colorectal cancer by targeting APC-deficient cells for apoptosis.
化学療法は、既にがんになっている細胞を殺すように働くが、その有効性は限られており、潜在的な毒性を伴う。The University of Texas M. D. Anderson Cancer Centerの分子生物学者、Wu博士らは、前がん状態の細胞を標的とした新たな化学予防のアプローチを開発した。博士らはまず、大腸腺腫瘍ポリポーシス(APC)遺伝子における欠損と続いて起こるβカテニンの活性化は、c-Mycの活性化を通して細胞のカスパーゼ-8阻害剤c-FLIPの抑制をもたらすことと、オールトランス型酢酸レチニル(RAc)は、TNFが関係したアポトーシス誘導リガンド(TRAIL)の死受容体(death receptor)を独立して情報制御し、また、デコイ受容体を抑制することを示した。その上で、TRAILとRAcの組み合わせが、in vitroで正常細胞に影響を及ぼすことなくAPC欠損の前がん状態の細胞におけるアポトーシスを誘発することを示した。更に、TRAILとRAcは、ヒトの結腸ポリープにおいて重要な細胞死を誘発することを証明した。このようなアプローチは副作用の少ないがんと戦う化学予防になり得るであろう。
[Nature advanced online publication 28 March 2010]
2010/04/06 多発性硬化症には2つのタイプがある
T helper type 1 and 17 cells determine efficacy of interferon-β in multiple sclerosis and experimental encephalomyelitis.
インターフェロンβ(IFN-β)は、多発性硬化症のための重要な治療法である。しかし、この治療はいつでも効果的であるとは限らない。Stanford University School of Medicine、神経学と神経科学の教授であるSteinman博士らは、T細胞が活性化される方法に依存して、2つの異なった経路を通して実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)が誘導されうることを見いだした。IFN-βは、IFN-γを分泌するT-ヘルパー1型(TH1)細胞により誘導されたEAEの症状を軽減したが、IL17を分泌するT-ヘルパー17型(TH17)細胞により誘導されEAEでは炎症を促進して症状を悪化させることをマウスの試験で確認した。またヒトでは、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)患者のIFN-βノンレスポンダーは、レスポンダーと比べて、IL-17の一つ、IL-17Fの血清濃度が高かった。さらなる大規模な試験が必要であるが、この予備的試験の結果は、簡単な血液検査で、IFN-βで治療効果が上がる患者とそうでない患者を見分けることができると考えられる。
[Nat Med online issue of March 28, 2010]
2010/03/29 米国における非黒色腫皮膚がんの増加
Incidence estimate of nonmelanoma skin cancer in the United States, 2006
非黒色腫皮膚がんの数は、1992年から2006年にかけて米国では劇的に増加したことをAdvanced DermatologyのRogers博士らが報告した。非黒色腫皮膚がんは、最も一般的ながんである割には、発生率や他の要因に関するデータは非常に少ない。 Rogers博士らは、皮膚がん治療の総計を算出するために、住民ベースの横断調査とCenters for Medicare and Medicaid Services Fee-for-Service Physicians Claimsのデータベースを含む複数の米国政府データセットとを連結した住民ベースの苦情と米国勢調査局のデータの記述的分析を実施した。その結果、Medicare fee-for-serviceから導かれた皮膚がん治療の総数は、1992年では1,158,298例であり、2006年には2,048,517例と、76.9%増加したことが示された。2002年(データベースが治療と患者の人口と診断のリンクを可能とした年)から2006年では、Medicare人口における非黒色腫皮膚がんの治療数は、16.0%増加し、この期間中に、罹患患者あたりの治療数は1.5%、少なくとも1治療を受けた患者数は14.3%増加した。博士らは、2006年の米国の人口における非黒色腫皮膚がんの総数は3,507,693例、米国で治療を受けた人の総数は2,152,500例と推定した。米国において、皮膚がんの診断と患者総数は、これまで推定されていたよりもはるかに多いと考えられる。果たして日本ではどうであろうか?
[Arch Dermatol 146(3): 283-287, 2010]
2010/03/23 新規なアンギオテンシンII受容体とネプリライシンの二重作用阻害剤、LCZ696
Blood-pressure reduction with LCZ696, a novel dual-acting inhibitor of the angiotensin II receptor and neprilysin: a randomized, double-blind, placebo-controlled, active comparator study
LCZ696は、アンギオテンシンII受容体阻害剤のバルサルタン(valsartan)とAHU377として知られるネプリライシン(neprilysin)阻害剤のプロドラッグの2つの部分よりなる物質で、アンギオテンシンII受容体とネプリライシンを阻害する薬剤である。Hospital 12 de OctubreのRuilope博士らは、活性対照としてバルサルタンとAHU377の単用とプラセボを対照として、18~75歳の軽度~中等度の高血圧患者1,328例が無作為に、8週間の治療の比較試験を行った。試験したのは、LCZ696 100 mg群(156例)、LCZ696 200 mg(169例)、LCZ696 400 mg(172例)、valsartan 80 mg群(163例)、valsartan 160 mg群(166例)、valsartan 320 mg群(164例)、AHU377 200 mg群(165例)又はプラセボ群(173例)の8つの群である。平均座位収縮期血圧における平均値は、LCZ696により有意に大きな低下を用量依存的に示した(平均低下:-2.17 mgHg、95%CI -3.28--1.06;p<0.0001)。平均座位収縮期血圧における低下は、200 mg LCZ696対160 mgバルサルタン(-2.97 mgHg、-4.88--1.07;p=0.0023)と400 mgLCZ696対320 mgバルサルタン(-2.70 mgHg、-4.61--0.80;p=0.0055)で有意差があった。LCZ696は、良い忍容性を示し、血管性浮腫の症例は報告されなかった。 この論文の結論で、Ruilope博士らは、"この薬剤は、高血圧と心臓血管系疾患の治療に有望であることを示唆する"と記している。
[Lancet, Early online publication 16 March 2010]
2010/03/15 HIVは骨髄細胞に潜伏
HIV-1 infects multipotent progenitor cells causing cell death and establishing latent cellular reservoirs.
薬物治療は血液中のAIDSウイルスの濃度を0にすることができるが、薬剤の投与を止めると、再び活性化してウイルスは出現する。University of MichiganのCater博士らは、骨髄細胞由来の一部の多機能造血前駆細胞内に安定的に持続するAIDSウイルスの潜伏感染があることを確認した。ここに潜伏しているウイルスは、分化因子により活性化される。高活性抗レトロウイルス療法により薬剤が投与されているときは、活性化されても拡散できないので多くの害はもたらさないが、薬剤がないと感染が再開される。 潜伏場所は分かったが、この血液を作り出す骨髄細胞を排除することは人にとって致命的であるだけに、この休眠しているウイルスを完全に排除することは難しい。今回の知見は、HIVの骨髄病理学、及びHIVの持続的な感染メカニズムの理解に重大な影響を及ぼすと考えられる。
[Nat Med published online March 7, 2010]
2010/03/08 脈波伝播速度で心血管系イベントを予測
Arterial stiffness and cardiovascular events  Framingham Heart Study
National Heart, Lung, and Blood Institute's Framingham StudyのMitchell博士らの研究で、脈波伝播速度で評価された動脈硬化は、最初の心血管系イベントのリスクと関連することが示された。博士らは、Framingham Heart Studyの参加者2,232例(平均年齢63歳、女性が58%)における脈波伝播速度により測定した動脈壁硬化と発現する主要心血管系イベント(心筋梗塞、不安定狭心症、心不全、或いは発作)の関係を比例ハザードモデルを用いて解析した。参加者の151例(6.8%)が、中央値7.8年(0.2‐8.9年)の追跡期間中に、心血管系イベントを発症した。年齢、性、収縮期血圧、抗高血圧療法の使用、全及び高密度リポタンパクコレステロール濃度、喫煙、及び糖尿病の存在、で補正した多変量モデルにおいて高い大動脈波伝播速度は、心血管系疾患のリスクの48%増と関連した(p=0.002)が、増強指数、中央脈圧、及び脈圧増強は、心血管系疾患の転帰に関係しなかった。このことは、正常な血圧を持っていても脈波伝播速度が正常であることを保証するものではない。したがって、心血管系疾患のリスク予測を改善するために、脈波伝播速度を標準リスクファクターに加える必要があろう。
[Circulation 121(4): 505-511, 2010]
2010/03/01 未治療の視力低下は、認知低下と関連
Untreated poor vision: A contributing factor to late-life dementia.
認知症と視力障害との間に関連性があることは知られていたが、University of MichiganのRogers博士らの調査で、視力問題が年を追って認知症診断へと進むことを示す結果が得られた。Rogers博士らは、1992~2005年のHealth and Retirement Study and Medicareファイルのデータから、試験開始時に正常な認知力の被験者625例の視力と認知力について追跡調査し、視力の低下は認知症の進展と関連することを見出した(p=0.0048)。試験開始時に、視力が良かった被験者は、視力が低下している被験者と比べ、その後の8.5年以降に認知症になるリスクは63%も低くなるとの結果が得られた。視力障害がありながら治療を受けていない被験者は、治療を受けた被験者と比べて、アルツハイマー病になるリスクは9.5倍、認知症ではないが認知障害のあるリスクは5倍高かった。視力問題が認知症の実際のリスクファクターであるかを確認するためには、更なる試験が必要ではあるが、少なくとも視力障害を治療することは、認知低下を遅らせたり妨げたりすることにつながると考えられる。
[Am J Epidemiol published online February 11, 2010]
2010/02/22 アスピリン服用と乳がん後の生存
Aspirin intake and survival after breast cancer
アスピリンの常用は、乳がんによる死亡や遠隔再発のリスクを下げる。 Harvard Medical SchoolのHolmes博士らは、1976~2002年間にNurses' Health Studyに登録された女性の看護師4,164例を基に死亡又は2006年6月まで、アスピリン服用と乳がんによる死亡に関し、プロスペクティブな観察研究を行った。試験期間中に341例が乳がんで死亡した。アスピリンを服用しなかった患者と比べた乳がんによる死亡と遠隔再発の多変量補正相対リスクは、①過去に使っていた患者は、死亡のリスク:0.88、遠隔再発のリスク:0.96、②週に1日服用する患者は、死亡のリスク:1.07、遠隔再発のリスク:0.94、③週に2~5日服用する患者は、死亡のリスク:0.29、遠隔再発のリスク:0.53、④週に6~7日服用する患者は、死亡のリスク:0.36、遠隔再発のリスク:0.57、であった。 この関連性は、疾患ステージ、閉経状態、BMI、又はエストロゲン受容体状態によりほとんど違わなかった。
[J Clin Oncol published online February 16, 2010]
2010/02/15 がんとの診断と自殺と心臓血管系による死亡のリスク
Immediate risk of suicide and cardiovascular death after a prostate cancer diagnosis: Cohort study in the United State.
がんとの診断を受けることは、自殺と心臓血管系による死亡のリスクが高まるストレスのたまる出来事である、特に診断を受けた直後はそうである。Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical SchoolのFang博士らは、1979年1月1日~2004年12月31日の間に前立腺がんと診断された患者342,497例のコホート研究を実施し、前立腺がんの診断を受けた日から、12か月間追跡調査した。追跡調査期間中、148例の男性が自殺、6,845例が心臓血管系疾患で死亡した。 前立腺がんの患者は、診断後最初の1年間の標準化死亡比(SMR)は1.4であり、最初の3か月間では自殺のリスクが高かった(SMRは1.9)。心臓血管系による死亡のリスクも、診断後最初の1か月はリスクが高かった(SMR=2.05)が、1年間(SMR=1.09)では少し高いだけであった。 最初の1か月のリスクを腫瘍の種類で比較すると、限局性或いは局所性腫瘍の患者(SMR=1.57)よりも、転移性腫瘍の患者(SMR=3.22)でより高かった。 自殺と心臓血管系による死亡のリスクが前立腺がん診断直後に高いのは、前立腺がん診断後の不安、気分障害などの一部を反映していると考えられるので、新たにがんと診断された患者への感情的なカウンセリングなどの速やかなサポートは重要である。
[J Nat Cancer Inst published online February 2, 2010]
2010/02/08 Crohn病の長期抗生物質治療
Long-term antibiotic treatment for Crohn's disease: Systematic review and meta-analysis of placebo- controlled trials.
Bern University HospitalのFeller博士らは、Crohn病治療に対する抗生物質の3か月以上の長期投与の有効性を調査するため、MEDLINEやEMBASEなどのデータベースからプラセボとの比較試験を抽出し、レビューし、メタ解析した。メタ解析したのは16試験、865例、13治療レジメンであり、有意な効果を示したのは、クロファジミン(4試験、患者322例)とニトロイミダゾール(3試験、患者206例)で、そのオッズ比はそれぞれ2.86と3.54であった。寛解例1例を出すために治療した活動性Crohn病患者数を算出するとニトロイミダゾールで6.1、クロファジミンで6.9であった。難治性のCrohn病治療には、最近抗体薬による有効性が評価されているが、抗生物質による治療も抗生物質同士の併用や新規な薬剤との併用で治療の有効性を向上させることができるかもしれない。新たな研究が望まれる。
[Clin Infect Dis 50(4): 478-480, 2010]




会社概要 個人情報保護方針 ご利用上の注意 会員規約

Copyright(C) 2007 Mejithes Inc.